言語教育、特に第二言語教育においては、リライトによって語彙レベルを適切に調節することはいくつかの理由でとても重要です。
第一に、未知語が多いと、途中で何度も立ち止まって辞書を引くなどして読むことになりますが、これは本来の意味での創造的な「読む」という行為が成立しなくなります。
言語学習ではあっても読解ではなくなるのです。第二に、未知語が多すぎて難しすぎると、読むことに対する動機づけが下がってしまいます。
第三に、語彙学習負担が多すぎると、学習の意識がそちらに向いてしまい、内容重視の活動ができなくなります。
語彙レベルの調節というと、いかにも言語形式に注意を払う教育法のように思われるかもしれません。
あるいは生の文章の良さ authenticity がなくなってしまうという思われる方もあるでしょう。
しかし、語彙レベルの調節は、ただ単に形式を捉えやすくすると言ったことなのではなく、逆に内容に注意を向けさせて、授業を活性化させるための下準備なのです。
また、語彙学習負担を適切なレベルに調節し、より効果的な学習を進めるための工夫なのです。生の良さは学習者がテキストと対話できることによって初めて成立するものだと思います。